料理長クワさんの「食材を訪ねて」〜魚沼サーモン編 養魚場に行ってきました!

年も明け、魚沼は一面雪景色。社長と料理長クワさんこと桑名と私、ヅカこと小野塚は「むらんごっつぉ」では欠かすことのできない食材、魚沼サーモンを飼育している魚沼市の梅田利彦さんを訪ねました。梅田さんは水や環境、自家採卵にとことんこだわる鱒養殖の匠というべき存在。匠の養魚場は、かの八海山の麓にあります。白い景色の中、車を走らせると、雪に埋もれる田んぼの中に、水しぶきがあがっていました。あそこです。梅田さんは外に出てもう働いていました。

むらんごっつぉの鱒(マス)は、八海山の伏流水100%で育てられていた!

 日本百名山としても知られる「八海山」の伏流水を利用して鱒を育てている梅田さん。100%の地下水で飼育しているのは、新潟広しといえど梅田さんのところだけです。おじいさんの代から始め、50年の知識と経験を基に、なんと自家採卵から育てている、魚沼随一の優良養魚家なのです。
 梅田さんが育てているのは、さっぱりとしながら味わい深い鱒。今日は「むらんごっつぉ」でも使っている魚沼サーモン(虹鱒:ニジマス)を見学するため早速、イケスへと案内していただきました。魚たちはみんな元気。幼魚から成魚まで、大きさ別にイケスを分けて育てられています。中でも大きいのに目が引かれてしまうのは、釣りキチの悲しいサガ。紅鱒好きの料理長、クワさんは、そのままがぶり、いってしまうんじゃないかと心配で見てみれば、確かにそんな目をしているじゃありませんか。「いっぱい泳いで筋肉をつけて、身の締まった魚になれ!! 餌もたっぷり食べて、うまみを凝縮しろ!!」。あとで聞くとそんな風に思っていたのだといいます。それも当然、どれも体格が良く美味しそうな鱒ばかり。この大きさになるまでなんと3年の月日をかけて大切に育てるそうです。「むらんごっつぉ」で使うのは、だいたい育てて2年後、1.8kg〜2kgくらいの大きさになった虹鱒。ぷりぷりとした身に脂がのって、まさに食べごろという時にいただいているというわけです。
 梅田さんの飼育のこだわりは、まず地下水を使用すること。これにより1年を通じて安定した水温で育てることが可能となります。さらに餌にもこだわることで、しっかりとした肉質で旨味のある身になります。さて一口。料理長と一緒にこだわりの餌を少しいただいてみました。ええ、アングラー(釣り師)としては基本です。ただ、人間が食べてもおいしいものではありませんが、鱒たちには美味なのでしょうね〜。

魚沼サーモン

自家採卵して卵から魚を育てる。それが梅田さんのこだわり

 餌を投げると、想像通りバシャバシャと、ものすごい食いっぷり。本当に元気な虹鱒たちです。中には、色が黒っぽくサビ色になっている鱒がいます。これは産卵期になって婚姻色(こんいんしょく:繁殖期に現れる色や斑紋)が出ているためです。梅田さんの養魚場では冬の産卵期は、採卵作業で大忙し。採卵した卵は食用と繁殖用に分け、食用は塩漬けにしてイクラになります。虹鱒のイクラはわずかしか採れないのでとっても貴重です。一方の繁殖用の卵は白色がかって小さな黒い点(魚の目です)が見られるようになります。自家採卵から魚を育てるこだわりは、アングラーから見てもスゴイ。小さな稚魚を育てるには気温や餌の管理が非常に難しく、それなりのリスクも伴うはずです。それでも自家採卵を貫くのは、梅田さんに品質へのこだわり、これでなくてはという信念があるから。2年後には立派な虹鱒になって、「むらんごっつぉ」にもやってくることでしょう。

魚沼サーモン

冬の鱒料理に使っているのはコチラ、新・魚沼ブランド「美雪ます」

 次に案内していただいたのが「美雪ます」のイケスです。この鱒は魚沼地区で10年もの歳月をかけて生み出された今や特産品で、昨年から魚沼地区の市場に出回るようになりました。イケスに近づくと「おや、虹鱒と違う」。そうなんです。美雪マスはアメマス(イワナ属)と虹鱒(ニジマス)の交配種で背中の模様はアメマス模様、横から見ると虹鱒といった容姿。一般的な虹鱒と違って警戒心が強く、泳いでいるタナ(魚の遊泳層。泳いでいる深さ)もやや深い感じがします。泳ぎ方もイワナらしい筋力のあるものです。その「美雪ます」、いただくとモチモチと張りのある食感なんです。冬になると虹鱒は産卵期になって味が落ちるので、「むらんごっつぉ」では、代わりにこの「美雪ます」を使用しています。
 私たちが自信を持ってご提供する魚沼サーモン(虹鱒)は、刺身はもちろん、焼き物でも美味しく召し上がっていただけます。「川魚はちょっと苦手」と思っている方でも、いえ、そう思っている方こそ、味わってください。口にしたときに鼻に抜ける風雅な香り。モチモチに続いてのぼってくる上品な甘さと脂。鮭よりもさっぱりとして味わい深い魚沼サーモン、きっと気に入っていただけるはずです。2009年春現在は、「炙り魚沼サーモンのタルタルソース添え」「魚沼サーモンの握り」で味わっていただけます。

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魚沼サーモンコラム その1

おいしさ感動の魚沼サーモン。安心安全もしっかり

井口:初めて梅田さんの魚沼サーモンを食べた時、あまりの美味しさに感動したのを覚えています。身も締まって脂もしつこくなく、川魚臭さも全く無い。これなら自信をもって提供できると確信しました。
梅田:うちでは地下水100%で飼育しているので、環境ホルモンの残留は一切ありませんし、餌の与え方も徹底しているので、安全で美味しく召し上がっていただけます。うちの子供たちも鱒が大好物で、「さかな食べる〜」と帰って来て、いつもおやつ代わりにしているほど。皆様に自信を持って提供できます。
井口:今の「むらんごっつぉ」では、梅田さんの鱒は無くてはならない食材のひとつです。地元でこれだけ良い食材に出会えたことにより、今では魚沼キュイジーヌ料理の核となる食材となりました。これからも良い鱒を育ててください。
梅田:井仙さんのように、この鱒を地元魚沼で評価していただけるのは大変嬉しいことです。これからもよろしくお願いします。

梅田利彦
〒946-0034 新潟県魚沼市大浦新田21

コラム
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